2023.06.28 written by Gaku Morita (SPLYZA Inc.)
スポーツを見ていて「速い!」と思うアスリートは多くいますよね。ただ、それらのアスリートが実際どのくらい速いのか?興味を持ったことがある方は多いのではないでしょうか。自分と比較して速いのか、もしくは遅いのか。気になる方も多いかと思います。
Into the final five. Come on Albion. 👊 pic.twitter.com/lODHcH6oDa
— Brighton & Hove Albion (@OfficialBHAFC) May 14, 2023
今回はトップアスリートである、サッカー日本代表/ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFC所属の三笘薫選手が「50mを走った時にどのくらいのタイムか?」を、2022-23シーズンのアーセナルvsブライトンのハイライト動画から算出してみました。50m走の公式記録や自分と比較してどのくらい速いのか、などをイメージしてもらえればと思います。
動画の5:21から始まる「三笘選手がフリーランニングからボールをタッチしてチャンスを作る」シーンの、フリーランニングの速度を計測してみます。三笘選手が映った瞬間を測定開始位置、ボールタッチまでを測定終了位置として平均速度を計測していきます。
まずは測定開始位置と測定終了位置を測定します。測定には縮尺の合ったサッカーフィールドの画像を使います。
【線の縮尺のあったサッカーフィールド】
動画5:21の走り出すフレーム、動画5:25のボールタッチのフレームで三笘選手がフィールド上のどこにいたかフィールド上にプロットします。周りの線を参考にプロットしましょう。
【プロット結果】
フィールド画像の左右方向をx方向、上下方向をy方向、フィールドの左下を原点として考えて、プロット位置とフィールド右上の座標(x、y)の値を測定しましょう。(今回は定規を使って測定しました)
【定規での測定結果】
次にそれぞれの座標を定規で測定したミリメートル単位から、サッカーフィールドのメートル単位に変換します。この試合が行われたアーセナルのエミレーツ・スタジアムは108m x
68mのフィールドサイズです。
つまり、定規で測定したフィールド右上の座標は(255, 164)はフィールドのメートル単位に直すと(105,
68)と表されます。この情報からプロットした画面に映った瞬間、ボールタッチのそれぞれの位置を、比例式を使ってメートル単位に変換して行きます。
◆画面に映った位置のメートル座標の計算
105 : 255 = x : 140
x ≒ 57.65
68 : 164 = y : 148
y ≒ 61.37
(57.65, 61.37)
◆ボールタッチした位置のメートル座標の計算
105 : 255 = x : 202
x ≒ 83.18
68 : 164 = y:130
y ≒ 53.90
(83.18, 53.90)
【メートル単位に変換した結果】
次にプロットした2点の直線距離を2点間距離の公式を使って求めます。
◆画面に映った位置からボールタッチした位置までの距離計算
距離 =
≒ 26.60 [m]
これによりこのシーンで移動した距離は「26.60m」と算出されました。
次に、測定開始から測定終了までの時間を計算します。Youtubeのコマ送り機能を利用して、フレーム数をカウントすると95フレームとわかりました。1フレームあたりの時間を0.033秒として時間を計算すると、
時間 = 95 x 0.033
≒ 3.14 [s]
距離と時間から測定開始から測定終了までの平均速度を計算します。
速度 = 26.60 ÷ 3.14
≒ 8.47 [m/s]
≒ 30.49 [km/h ]
タイム = 50 ÷ 8.47
≒ 5.90 [s]
というわけで、このハイライト動画から算出された50m走のタイムは「5.90秒」となりました。
50mの日本記録(https://www.jaaf.or.jp/record/japan/?segment=3)である「5.75秒」には劣りますが、今回数式で算出された「5.90秒」はかなり速いタイムとなりました。距離50mを機器で計測したタイムと、ハイライト動画から推定した距離(約27m)と時間から算出した速度を元に計算した50m走のタイムでは条件が異なりますが、それでも三笘選手は驚異的なスピードと言えそうです。
以上、今回はサッカー選手である三笘薫選手の50m走のタイムをハイライト動画から計測してみました。ラグビーや野球などその他のスポーツでも「速い!」と思う選手は多く存在するかと思います。それらの選手を同様の方法で50m走として計算してみると、どれくらい速いのかイメージできるかもしれません。是非みなさんもやってみてください。