2025.10.21 written by SPLYZA Inc.
文部科学省が推進する「DXハイスクール」事業の一環として、札幌山の手高校スポーツ健康コース様にて、SPLYZAが特別授業を実施いたしました。本取り組みのテーマは「スポーツ×探究」。弊社が提供するAIによるマーカーレス3D動作解析アプリ「SPLYZA
Motion」を用い、生徒自身が“自分の動き”を科学的に分析し、課題発見から改善までを自ら考える探究型の学びを実現しました。
本レポートでは、スポーツを題材に「探究的思考力」を育む、先進的な教育事例をご紹介します。
■ 授業の基本情報
| 学校名 | 札幌山の手高校 |
| 対象コース | スポーツ健康コース(3学年合同) |
| 単元名 | 特別授業(DXハイスクール連携) |
| 使用ツール | SPLYZA Motion(3D動作解析アプリ) |


この授業でSPLYZA Motionが果たした役割は、スポーツの動作を通して「自ら課題を見つけ、データで検証する力」を育てることです。従来の指導では、指導者の感覚や経験に基づいた感覚的な指導が中心でした。SPLYZA
Motionを導入いただくことで、指導プロセスは「経験則」から「データ検証」へと大きく変容します。
生徒たちは、自分やチームメイトの動作をiPadで撮影し、SPLYZA
Motionで解析。関節の角度や動きのタイミングを数値や3Dデータで確認しながら、「なぜうまくいかないのか」「どんな工夫が必要か」を話し合いました。感覚的な“うまくいった・いかなかった”という経験を、数値と映像で裏づけることで、生徒は課題をより深く、納得感を持って理解できるようになります。一方的な指導ではなく、生徒自身が問いを立て、検証する主体的な学びのサイクルをSPLYZA
Motionが支えました。

本授業は2日間(計4コマ)で実施され、SPLYZA Motionの操作習得から、データに基づく探究的な課題解決へと段階的に発展しました。
■ STEP 1:操作スキルの習得と数値化体験
クラウチングスタートやバッティング動作を題材に、SPLYZA
Motionの基本操作を体験。角度、距離、速度、軌跡などの測定や、二画面比較によるフォーム分析を行い、映像を“数値データ”として捉える基礎を学びました。弊社提供のスキルチェックシートも活用し、データ分析の基本をグループワークで習得しました。
■ STEP 2:データ活用による課題発見と探究的な実践
生徒は各部活動ごとに分かれ、自身の競技の動作を撮影・解析しました。各グループでテーマ(課題)と動作を決め、「課題を改善するためにどんな数値を見るか」「どの部位を計測するか」などを議論。解析後は、感覚的な評価(定性)とSPLYZA
Motionから得られた数値的な評価(定量)を組み合わせ、具体的な改善策を設定しました。仮説と検証を繰り返しながら課題解決に向けた探究的な実践が行われ、SPLYZA
Motionを活用した“自分の動きを研究する”という主体的な学びを実現していました。


実践の時間では、生徒たちが仲間と意見を交わしながら課題を発見し、改善に積極的に取り組む姿が多く見られました。
事例1:女子バレーボール部|スパイクフォームの改善
スパイクが苦手だった生徒が、自身の動きとお手本となる先輩部員の映像をSPLYZA Motionの二画面比較機能で解析しました。
「自分は支点がぶれていて、一番高い位置で打てていない」と、データに基づいて自ら課題を発見。その後、先輩に肘の位置をサポートしてもらいながら練習を繰り返したところ、フォームが劇的に改善し、周りの仲間たちからも「すごい!全然違う!」と歓声と拍手が起こるほどでした。
事例2:野球部|投球フォームの改善
「肩を痛めやすい」と感じていた生徒が、他の部員の映像と見比べることで、「自分は肘が前に出すぎている」と課題を特定。周囲の仲間からも「そのフォームだと肩を痛めやすいよ」と自然に助言が飛び交いました。スティックピクチャ表示を使うことで、さらに体の動きの違いが明確に見え、「もっとこうしてみよう」「この角度を変えてみたら?」と、生徒たち同士が主体的に議論をかわしていました。
視覚的なフィードバックを通して、課題を“見える化”し、仲間と協働して解決策を探る。まさに「スポーツ×探究」の醍醐味を感じる授業となりました。


授業を体験した生徒たちからは、SPLYZA Motionがもたらすデータ活用の意義を実感する声が多く挙がりました。
「今までも動画を見ることはあったが、”動きが良い/悪い”と大雑把なことしか把握できていなかった。SPLYZA Motionで数値化することで細かいところまでわかるようになり、よりパフォーマンス向上につながると感じた」
「グラフや数値を見ることで、どのような体の使い方をすると良くなるのかがわかった。これからはもっと”今、体がどのように動いているのか”を考えながら練習していこうと思った」
「どうしたらもっと良くなるかを、みんなで一緒に考えられた」
感覚では捉えにくい動きの差が、データとして“見える化”されることで、納得感のある改善につながっています。生徒は、この活動を通じて“データで考える力”を身につけ始めています。
コース責任担当者:渡邉 徹 先生
「今回の特別授業は、本校のスポーツ健康コースで初めて3学年が揃ったことを記念し、”DXハイスクールに採択された”という背景を活かして企画されました。授業の目的は、生徒たちに自身の動きや動作の解析へ興味を持ってもらうことです。SPLYZA様の協力のもと、生徒たちには普段の自分の動きがどうなっているのかを身近に知ってもらい、学びを深めることを期待しています。将来的には、生徒たちの中からスポーツアナリストや、スポーツを情報として扱う分野といった、これから需要が増すであろう職業に興味を持ち、進路の一つとして選択していくきっかけになればと願っています。」
今回の札幌山の手高校様の取り組みは、DXハイスクール事業の予算を活用したモデルケースとして、今後の教育現場に広がる可能性を秘めています。SPLYZA
Motionは、iPad1台で手軽に3D動作解析を実現できるアプリです。私たちはこのツールが、体育、部活動、そして探究学習といった多様なシーンで、生徒たちの学びを深める一助となると考えています。
スポーツという身近な題材を通じて、生徒たちが探究的思考力と課題解決力を育む。SPLYZAは、このような新しい学びの形を支え、これからの探究教育の可能性を広げていくことを目指します。
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