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所沢北高等学校 SPLYZA Motionが拓く、教科横断型学習の可能性

所沢北高等学校 SPLYZA Motionが拓く、教科横断型学習の可能性

■基本情報

授業担当者(インタビュー回答者) 齊藤 貴浩
教科 / 単元 体育/SSコラボ*
利用製品 SPLYZA Motion

*SSコラボとは:SSH(スーパーサイエンススクール)に係る授業で、理系科目と他の教科をコラボレーションさせる授業のこと。

■目次

1. 念願の「動作研究」を授業に導入できた理由
2. 動画では難しい「時系列での数値化」が指導を変えた
3. 生徒の「なぜ?」が爆発的に増え、授業への向き合い方が変化
4. 体育が苦手な生徒を救う、もう一つの「学び」の形
5. 「授業を作る面白さ」を再認識させた他教科との連携

1. 念願の「動作研究」を授業に導入できた理由

以前から、興味を持っていた動作研究を授業に取り入れたいとずっと思っていました。しかし、従来の体育の現場では、動作を科学的に分析する環境も知識も理解も不足し、なかなか実現できませんでした。SPLYZA Motionは、この長年の課題を一気に解決してくれました。私自身、論文を読み込む知識はありましたが、それを数値化して生徒に見せる術がなかったんです。SSH校という環境で予算がついたことも大きいですが、「これさえあればなんとかなるだろう」という期待を持って導入を決めました。

2. 動画では難しい「時系列での数値化」が指導を変えた

SPLYZA Motionの最大の強みは、単に動画をスロー再生するだけでなく、時系列を追って動作を数値化できる点です。例えば、走行中に「一番太ももが上がっているタイミングはどこか」「何度上がっているのか」を一人ひとり具体的に把握できます。以前は、生徒のフォームを見て「もっとここをこう」と漠然と指導するしかありませんでした。モーションを使うことで、指導が「具体的な数値」に基づいたものに変わり、生徒も客観的な事実として受け止められるようになりました。指導の抽象度が下がり、具体性が増したことが大きな変化です。

3. 生徒の「なぜ?」が増加し、授業への向き合い方が変化

導入後、生徒からの質問が導入前に比べて圧倒的に増えたことに驚いています。「なんで膝を曲げてレシーブするんですか?」といった、動作の原理を問う質問が出るようになりました。以前は「とりあえずやろう」だった体育が、SPLYZA Motionによって科学的な探究の対象に変わった証拠だと感じています。生徒は「これなんでやるんだろう?」という視点を持つようになり、授業を受ける態度そのものが変わりました。単に運動技能を習得するだけでなく、その裏にある物理的な法則やメカニズムを知ることが、生徒の学びを深めています。

授業風景

4. 体育が苦手な生徒を救う、もう一つの「学び」の形

私にとって最も印象的だったのは、運動が苦手だった生徒が嬉しそうにiPadを持って撮影・分析していた瞬間です。体育は「運動が得意な子が好きな科目」という循環になりがちですが、彼女が楽しそうにしている姿を見て、「体を動かす技能」以外にも体育への貢献や興味の持ち方があると改めて痛感しました。SPLYZA Motionは、生徒が「動作を分析する」「科学的に調べる」という新しい形で体育に参画する道を作ってくれました。これは、生涯にわたってスポーツに携わるための「見る」「知る」スポーツの側面を育む上で、非常に大切なことだと考えています。SPLYZA Motionは、体育が根性論ではなく、知的な学びであることを生徒にも教員にも示してくれる、貴重なツールです。

5. 「授業を作る面白さ」を再認識させた他教科との連携

さらに、SPLYZA Motion導入後は、私自身の授業だけでなく学校全体の教科横断的な連携も活性化させました。特に「SSコラボ」という授業で物理の先生と「体育×物理」の授業デザインを一緒に考えられたのが、本当に面白かったです。例えば、最初は「長い振り子と短い振り子」の実験から入るなど、物理的な知見を体育の現象に落とし込む作業は、社会人になってから改めて「授業を作るのって楽しい」と感じるきっかけになりました。数学の先生も現在、SPLYZA Motionのデータを使ってグラフを描かせる授業を考えてくれていて、教科間のコミュニケーションが深まり、体育が孤立しなくなったのは大きな成果です。

授業風景